第21章 赤司主将
終業式をやるということで体育館に移動する。
「柏木。」
誰かに声を掛けられてそっちを振り向いた。
「...あ、赤司くん。おはよう。」
朦朧とした意識で声の主の赤司くんの名前を呼び挨拶をする。
「朝も挨拶したんだが。...どうかしたのか?」
「え...?」
「なんだかいつもと様子が...。」
様子...?
それより頭痛いなぁ。
「...なんでもない。」
仮にも好きな人に少し冷たく返事をしてしまい後悔する。
これ以上顔を合わせるとまた何か言ってしまいそうで怖くて赤司くんを置いて先に体育館に行った。
体育館の中は上の窓が開いているが大して涼しくはなく、人口密度の高さと湿気で暑さがより増していた。
暑い...。溶ける...。
さっさと自分のクラスのところに並ぶ。
周りを見てみると、斜め少し後ろに黄瀬くんの姿があった。
黄瀬くん近くの女の子たちは黄瀬くんのことを見ていて、人気者も大変だなと思った。
黄瀬くんのことを見ていたらあっちも私のことに気が付いたらしく名前を呼ばれて手を振られたので振り返したら周りの女の子たちに睨まれて少し怖かった。
これ以上見ていると周りの子たちが怖いので前を向いた。
開会式に始まり次に校長先生の話。
校長の話は定番で長かった。
立っているのがつらかった。
私は校長の話の途中で、結構大きな音を立てて膝からガクンと崩れ落ちてしまったためみんなの注目を集めた。
自分でも何がなんだか分からなくて焦って立ち上がろうとしてみるが足に力が入らなくて立てない。
「柏木さん、大丈夫?」
後ろの子が声を掛けてくれているのは分かっていたが思考が停止していて返事も出来ない。