第3章 転入生な私
「あ、そうだ!
由良ちゃん、バスケ部のマネージャーやってみない?」
「....マネージャー?」
「うん!これもなにかの縁ってことで!」
「....みさきなでしこに言ったら喜びそう....。」
聞こえないようボソッと呟く。
「ん?なんか言った?」
「....ううん、何でもない。考えとくね。」
適当にごまかして笑う。
その時ちょうど予鈴が鳴った。
「あ。」
「もうそんな時間ッスかー。」
「案外短かったね~」
「みんな授業に遅れるなよ。」
みんな個々に立ち上がる。
私も立って、みんなの後を追うようにして屋上をあとにした。
「柏木。」
途中、名前を呼ばれて呼び止められた。
「....なに?赤司くん。」
「さっきの、みさきなでしこというのは誰だい?」
「....聞いてたの?」
まさか赤司くんに聞かれていたとは....。
一番ごまかしがきかない人に聞かれちゃった。
「で、誰?」
もうごまかしてもしょうがないし、いつか出会うんだから言っちゃおうかな。
「....みさきなでしこっていうのは三人目の私。」
「え?でも確かさっき君は二人いると言ったばかりじゃないか。」
「....蓮花が面倒だから説明省いたかもしれない。」
「そうなのか。じゃあ柏木は三人いるのか?」
「...知らない。」
強引に切り上げてさっさと教室に戻る。
その後、赤司くんが私について考え込んでいたことを私は知らない....。