第20章 虹村主将
赤司くんと二人きりになり沈黙が流れる。
その沈黙を最初に破るのは、私。
ある程度距離があったが、赤司くんのところまで歩いていって抱きしめた。
当然驚いた赤司くんから声が掛かる。
「なにを...!」
「赤司くん、きっとこれからつらいことがたくさん起こると思う。つらいなんて言葉じゃ表しきれないかもしれない。でもね、赤司くんには一緒にいてくれる仲間がいるから。つらかったら一人で抱え込まなくていいんだよ。」
ずっと赤司くんにこう言いたかった。
私の腕の中の赤司くんは無言でいる。
続けて言い聞かせるように言う。
「あとね、もう一つだけ。....由良は赤司くんの味方だよ。どれだけ赤司くんが変わろうとも絶対傍にいてくれる。」
それだけ言って赤司くんを解放してあげた。
「....どうしてそこまで言い切れるんだ?」
「だって由良は赤司くんのことが大好きだから。じゃあね。」
片手を上げて赤司くんと別れる。
赤司くんを見てると、誰かに似ているようで同情してしまいそうになる。
でも同情はしない。
私にはそんなこと、できない。
だって私は....。
暗い夜道で独り寂しく微笑んだ。
さっき赤司くんに伝えた言葉を思い出して色々なことに気が付いた。
あ、そういえば。
恋愛感情抜きで、っていうの言い忘れちゃった...。
由良の赤司くんに対する気持ちは同情に近いけどそうじゃない。
同情よりもっと深いなにか...。
でも結果的には伝えたいことは伝えられたし結果オーライ、かな。