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トリップしちゃいました

第20章 虹村主将


「...オメーさ、なんで俺の親父のこと知ってんの?」


少しの沈黙のあとにそう聞かれた。


「...さあ、なんでだろうね。」


「ごまかすな。」


鋭い目で睨まれる。


「...知ってたらいけない?」


「いけなくねぇけどよ...。」


「...じゃあいいじゃない。」


「....。」


この会話はこれで終わり...。


私は虹村さんのお父さんのことなんかどうでもいい。



「...ねえ、虹村さんは私のこと嫌い?」


ふと気になったことを聞いてみた。


「いきなりどうした?嫌いじゃねぇけどよ。」


じゃあ、なんで...


「...なんで怒るの?」


「あ?俺オメーに怒ったこと....あるわ。」


「なんで?」


「それはオメーが俺を怒らせること言うからだ。」


虹村さんを怒らせることってなんだろう。


「...前に、私は人を怒らせるのがうまいって言われたことがある。」


「それは...褒められてんのか?」


虹村さんが微妙な顔でこっちを見てくる。


「...褒めてるって言ってた。」


「そっかそっか。」


突然頭に手が乗せられてかき回された。


「....そういう育て方、されたから仕方ないんだって。」


どこか他人事のように言う。


「ふーん。でもよ、相手がこう言ったらどう思うとかちょっと考えてから発言する練習したほうがいいよ。そうした方がこれから役に立つしよ。」


それが簡単に出来たらこんなに虹村さんを怒らせるなんてことないと思うんだけどな、と思いながらもそれを口に出したところでどうしようもないことを知っているから何も言わずに視線を地面に落とす。
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