第19章 willingness
壊された家具は放っておいて危なそうなものをほうきで端に寄せたりして片手で出来ることをやって過ごしていたらしだいにお腹が減ってきた。
そろそろなにか食べたいと思っていた頃、スマホが振動し始めた。
画面を見ると電話のようで、名前のところには「赤司くん」と書いてあった。
誰ですかね、赤司くん。
電話をかけてくるほどですから知り合いでしょうけど。
出ようか迷ったが結局出ないことにした。
由良の知り合いでも由良の事情を知らない相手だったら会話に困りますしね。
さて、昼飯昼飯。
近くのコンビニで昼飯を買ってさっさと家に戻った。
そろそろ電気をつけないと部屋が暗くなってきた。
一日過ぎるのが早かった。
電気をつけようとしたその時丁度インターホンが鳴った。
玄関に行って、ドアの小さい穴から誰が来たのか覗いて怪しそうな人じゃなかったからドアを開けた。
赤い髪のどことなく上品な人だと思った。
今朝目覚めたときに俺が着ていたものと同じものを着ていたから思わず訪ねてしまった。
「あなたは学生ですか?」
「あ、あぁ...。」
その人は目を見開き困ったように返事をした。
「どうかしましたか?」
「いや...。柏木....?」
「そうですが、由良の知り合いですか?」
「...あぁ。君は?」
「万華鏡と言います。」
「万華鏡...。もしかして、柏木の中の人格の一人か?」
「えぇ、そうですが...あなたは?」
「俺は赤司征十郎だ。よろしく。」
赤司...征十郎....。