第19章 willingness
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ここは....どこ...でしょう。
家具の配置はほぼ変わらないけれど、どこか違う部屋。
泥棒でも入って部屋が荒らされたのかと聞きたくなるほど壊された家具。
ノートに書きなぐられた文字。
「虹村さんなんか嫌い!大嫌い!死ね!」
ひどい字ですね....。
目を覚ますと、自分が見知らぬ荒れた部屋にいてどこかの制服を着てベッドではなく床の上で寝ていた。
部屋の異常な荒れに気を取られていて忘れていたが、左手の甲が腫れていて痛みがあることに気が付いた。
まさかと思ったが、念のため病院に行くことにした。
掛け時計があったはずなのにそれも壊されていたから仕方なくある部屋に入ってスマホを取り、それで時計を見てついでに病院の場所も調べた。
自分の部屋だと思われる部屋に入って着替えて愛用する眼鏡を掛け、必要なものを持って出かける。
「ひびが入ってますね。」
やけにテンションの高い医者に笑顔で言われた。
「はぁ....そうですか...。」
こっちはその医者に呆れつつ、左手が使えなくなる不便さにため息をつきながら返事をする。
左手をギプスで固定されて痛み止めをもらって病院をあとにした。
久しぶりに出てきたら知らない場所にいるしなんなんですかここは。
引っ越しでもしたんですか?
自問自答しながら家に着き、ノートを開いた。
そこには信じられないことが書いてあり驚いて冷静になるために目を瞑った。
落ち着け。
この日記には事実しか書いてないはずです...。
筆跡だって知っているものしかありません...。
すると、信じられませんが本当のことのようですね。
目を開けて包帯でぐるぐる巻きにされた左手を見てまたため息をついた。