第19章 willingness
「...なにか用?」
赤司くんに聞く。
「分からないかい?」
そう言われてちょっと視線を外して空中で彷徨わせてみたが全然分からなかった。
「....分からない。どうして?」
首を傾げたらため息をつかれた。
「何故あんな点数を取ったんだ?お前はもっとできるはずだろう?」
「...あれが私の実力だよ。」
「だが...」
「....ちゃんと部活に響かないように及第点は取ったよ。」
「そうじゃねぇだろ...。」
今まで黙っていた虹村さんが声を発した。
何でか分からないけど怒っているように見えた。
「赤司は自分の出来ることは精一杯やれって言ってんだよ。オメーはなんで出来るのにやろうとしねぇんだよ。ふざけんな!」
怒鳴られて思わず後ずさった。
「オメーの態度は一生懸命にやってる奴を侮辱してんだよ!」
言いたいことはいっぱいあるはずなのに何を言えばいいか分からなくなった。
自分がこのあとどうすればいいか分からなくなった。
気づいた時には大事なノート以外のもの、カバンも含めて持たずに走っていた。
ひたすら走った。走って走って。
無事に走ってきて家に着いた。
でもその時にはもうなんでイライラしているのか、自分が涙を流しているのか、イライラが消えないのか分からなくなっていた。
持って帰ってきたノートに衝動的に書いた言葉の意味さえも知らずに。