第18章 君のこと
店から出て赤司くんのところに戻る。
「....お待たせ。」
「ああ。」
あてもなく歩き出す。
「柏木、勝手にどこかへ行くな。行くときは言ってから行け。いいな?」
花屋に勝手に言ったこと怒ってるのかな...?
「....ごめんなさい。」
「分かればいいよ。ところで、どうしてこの時期にカーネーションを?しかも白いものもあるが。」
自分の手に握られている袋の中身を見ると、赤いカーネーションだけでなく白いカーネーションも入っていた。
別に間違いというわけではなく私がちゃんと頼んで入れてもらったものだ。
「....両方あげるから。」
「白いものは亡くなった方にあげるものだよ?柏木の母親は亡くなられているのか?」
「....いるよ。」
「なら、何故?」
「ただ....白いカーネーションも好きだって言ってたから買っただけ。」
「なるほど。そういうことか。」
赤司くんに嘘をついてしまった。
全部嘘というわけではないけれど、でもばれてもまずい嘘は混じってない。
例えばれたとしても支障はない嘘をついた。
大好きな赤司くんに嘘をつくのはちょっと罪悪感があったけど仕方のないことだと自分を落ち着けた。
「あ、あと、これ。」
袋の中からカーネーションじゃない花を取り出して赤司くんに渡した。