第18章 君のこと
「そろそろ出ようか。」
「うん。」
頷いて立ち上がる。
バッグから財布を出したけど赤司くんに止められた。
「....自分のは払う。」
「俺が誘ったんだしここは俺に払わせてくれ。」
ここは赤司くんを立てるべきか否か悩む。
おごられると赤司くんに貸しを作るみたいでいやだった。
「とにかくここは俺が払うよ。」
そう言ってすたすた会計のほうに歩いていってしまった。
結局赤司くんが全部払うことになり、店を出たあと謝る羽目になった。
謝ってから自分なりに考えて、今度なにか埋め合わせでもしようと思った。
あの店を出た後は特に話をするでもなく街をぶらぶら歩いていた。
平和だなぁ....。
のんびりとした街の雰囲気を感じながらひたすら歩く。
歩いていると、あるものを見つけて引き寄せられるようにそこに足が向かった。
「柏木、どこへ行くんだ。」
赤司くんの言葉は聞こえていたが、聞き流してしまうほどそれに見入ってしまった。
「あ、おい....!」
着いた先は、花屋だった。
「なにか気になるものでもあったか?」
「...これ。」
私が見ているのは赤いカーネーション。
「カーネーション?だが、母の日はもう過ぎて....。」
「うん。でも買う。」
赤司くんをそこで待たせて店の中に入っていった。