第18章 君のこと
「美味しい?」
「うん、とっても!ほっぺが落ちそうだよ。」
本当に久しぶりにこんなに美味しいものを食べた気がしてつい本音が漏れる。
「それは良かったよ。みさきなでしこは味覚があるんだね。」
「うん。普通にあるよー。」
「そうか。ところで、聞きたいことがあるんだがいいか?」
「いいよ。私に答えられることなら何でもどうぞ。」
「さっき、メニューを見ている時に柏木が独り言を呟いたのはなんだ?」
メニュー見てる時って....あれ、かな?
「あ、あー....。それね、私だ。」
「は?」
「いや、あの。私たちってさ、一つの人格がこの体動かしてる時他の人格は基本寝てるか意識の中っていうのかな?そこにいて、私もさっきまで意識の中にいたんだけど、その状態でその前に出てる人格と会話するとさっきの赤司っちが見た光景になるっていうしくみ。...て、ごめん。説明分かりづらいね。」
「ああ。」
「意識の中のイメージは夢かな。ほら、寝てる時に見る夢。夢見てる時って体動かないじゃん?夢の中で辺りは真っ暗なんだけど自分とほかの人格は見えててそれぞれ好きに過ごしてるのね。で、現実で体を動かす時というか夢の中から出るには、トンネルがあるんだけどそのトンネルをくぐると夢の中から出られる、みたいな感じ?」
「じゃあ、さっきの独り言は起きて寝言を言っているようなものか?」
「そうそう。イメージ的にはそんな感じ。」
「色々と複雑なんだね。」
「そうなんだよ。赤司っちが物分かりよくて助かった。じゃ、私はこれで。」
話している間にいつの間にかフレンチトーストを完食していたので話し終えると、手を上げて目を瞑った。
由良と頭の中でハイタッチを交わして交代する。
そこで意識が途切れた。