第18章 君のこと
エレベーターで下に降りてみる。
赤司くんはまだいないようでホッとした。
『デート、楽しみだね!』
「だから違うって。」
『まあまあ。』
みさきなでしこ....絶対楽しんでる...。
楽しそうだからいいんだけど。
みさきなでしこが変なこというから顔が熱くなるのを感じた。
「もうっ....馬鹿....。」
「誰が馬鹿なんだ?」
俯いて、独り言で呟いた途端に聞き覚えのある頭の中からじゃない声が聞こえた。
顔を上げて分かってはいたが、声の主を確かめる。
「あ、赤司くん。」
「待たせたね。」
「....ううん。」
「で、さっきの問いに答えてくれないか?」
さっきの....問い....。
「別に....なんでもない...。」
そっぽを向いて答えた。
「そっか。それならいいんだ。さぁ、行こう。」
「うん。」
赤司くんにしては引くのが早かったな、なんて思いながらあとに着いていく。
まずはお昼を食べに行こうということになってメニューが豊富で値段もそこそこなカフェに入った。
お昼時を少し過ぎていたからか、店内にはそれほど客はおらず静かだった。