第17章 勉強会をしよう
「はぁ....ほんと大きいお屋敷だねぇ....。」
ベランダの柵に手を付いて、そこに広がる景色を見た。
「由良に言ったらうらやましいとか言われるかな。」
一人で呟いて、一人でクスクス笑う。
傍から見たら変な光景だろう。
そして内ポケットからあるものを取り出した。
細長い管状のもの。それは、煙管。
でも別に喫煙するために持って来たのではない。
元の世界でもただ咥えてかっこつけるためだけのものだったし、この体は未成年だからどっちみち喫煙はできなかった。
「柏木。」
「....赤司っちじゃない。どうしたの?」
「中々戻ってこないから心配して来たんだ。それはそうと....」
赤司っちが私の右手に持っているものに注目しているのに気が付いた。
「あー、これ?これはねー、別に赤司っちが思ってるようなことには使ってないから安心してよ。」
「別に、心配はしていないよ。見た目ほど馬鹿ではないだろう?」
「見た目ほどって....。ひどーい。」
「俺は見たままを言っているんだが。」
「いいのいいの。だって馬鹿って思わせといたほうが楽だし生活しやすいし、それに、区別しやすくていいでしょ?」
「区別?」
「そ。区別。」
私だって一人の人間なんだから。
ただ柏木由良の体の内にいる人格の一人だなんて思われたくない。
そのためにメイクとかしてるわけじゃないけど、やっぱり私は個性を大事にしたい。
だからこの見た目を大事にしている。