第16章 お菓子と彼と
「さて、そろそろ出るか。」
粗方食べ終わって憧れのマジバを出ることにした。
すっかり遅くなってしまった。
「奢って下さってありがとうございました。」
マジバを出ると赤司くんが丁寧に虹村さんにお礼を言った。
「....ありがとう。」
私も赤司くんのあとにぶっきらぼうにだがお礼を言った。
まだ頭の中であの説教が続いているから平常心を保っていられない。
そんな自分にイライラしてつい人に当たったり物に当たったりしてしまう。
「もうやめてよ。うるさい。」
虹村さんと赤司くんが二人で立ち話をしているのを確認して、そこから少し離れて頭を両手で押さえながら怒りを込めて呟いた。
「もう分かったから。緑間くんのことこれ以上嫌いにさせたくなかったら黙って。」
こう続けると、ようやく黙ってくれた。
頭の中の不快感も消えて一息つく。
「頭を押さえていたみたいだが大丈夫か?」
え?
「あ、赤司くん。....虹村さんは?」
「用事を思い出したらしく帰ったよ。」
「....そう。....うん、平気。大丈夫だから。」
「それならいいが。くれぐれも無理はするなよ。」
「うん。」
赤司くんの優しさが本当に身に染みた。