第16章 お菓子と彼と
「え...っと....。」
「この前別の人格に聞いたらダイエットだと言っていたが。」
ダイエット....?
「ダイエットする必要なんかねぇと思う。」
うん....私もそう思う。
どうしよう。うまい言い訳が思いつかない。
「まだ隠してることがあるんなら言ったほうが身のためだぞ。」
そう言われてうつむく。
「....今から私が言ったこと、信じてくれる?」
「ああ。信じてやるから早く言え。」
「....食べ物の味を全く感じないから、食欲が湧かなくて....。」
「は?」
二人とも驚いた顔をしている。
「じゃ、じゃあバニラシェイクの味もポテトの味も感じねぇってか?」
虹村さんの言葉に頷く。
「マジか....。」
「それは驚いたな。」
「食べなくてお腹空かねぇの?」
「空かない....。」
「いつも食べている飴は?確か転入初日に好きだと言っていたがあれはどうなんだ?」
「....感じない。あれは口の中で転がす感覚が面白いのと噛み砕くときのあの感じが好きなだけ。」
「そ、そんな理由で飴食べてたのかよ。」
それ以外になにか、と言いたい顔で首を傾げた。