第16章 お菓子と彼と
どのくらいの時間が経ったんだろうか。
病院に一人でいるのは嫌だからはやく家に帰ろう。
そう思って涙を拭き、個室を出た。
鏡で自分の顔を見てみると、目をいっぱい擦ったからか赤くなっていて明らかに泣いたと分かるような顔になっていた。
でも外はもう暗いからそんなに気にしなかった。
トイレを出て驚いた。
もうとっくにいないと思っていた二人がいたから。
「遅かったな。」
「おせーよ。」
虹村さんと赤司くん....。
「....なんでいるの。」
「一人で帰らせられるかよ。もう夜だぞ。」
なんだ...そんな理由か....。
いいのに....。むしろ一人で帰りたかった。
「帰るか。....ほら。」
虹村さんが私に手を差し出した。
差し出された手の意味が分からなくて首を傾げる。
「手繋いでやる。もう暗いからな。」
え....。覚えててくれたの....?
虹村さんの手を見て繋ぎたかったけどさっきのこともあって自分の手が中途半端なところで止まっていた。
その手を引っ張ってくれて、結果、手を繋ぐ形になった。