第16章 お菓子と彼と
「君は順応力が高いんだな。」
ノートを読んでいた赤司くんが言った。
「....そうだね。」
「帰りたいとは思わないのか?」
「....何も聞かないでって言ったはずだけど?」
「ふっ、そうだったね。」
「...帰る方法が分からないしそれに....」
「それに?」
あの場所にもう用なんてないから....。
「....。....私は....私たちはこの場所が好きだから。」
「そうか。」
納得はしてなさそうだけど、この話はこれで終わってノートも返してくれた。
しばらくして、病室のドアが開いて虹村さんが出てきた。
「お、お前ら....なんでここに....?!」
すごく驚いていた。
何せもうとっくに帰っていたと思っていた二人が父親の病室の前の椅子に座っていたのだから。
「まさか....お前か?」
「....何が?」
「とぼけるな!」
虹村さんの声が響く。
「虹村さん、ここは病院です。静かにしてください。」
「お、おう....。」
「大丈夫....赤司くんにはまだ何も話してないから。」