第16章 お菓子と彼と
「説明してもらおうか。どういうことだ?」
「....何が?」
「何がって....この状況をだよ。」
「....嫌。」
「柏木。」
赤司くんがこっちを真っすぐ見ている。
その眼差しに負けたわけではないが、ため息をついて口を開いた。
「....これは虹村さん個人の問題だから。....赤司くんにだってあるでしょ?知られたくないことの一つや二つ。」
「....それは....そうだが....。」
「....そんなに知りたいんだったら虹村さんに聞いて。
....でも....そんなに家族って大事なものなのかなぁ....。」
赤司くんはそれ以上何も聞いてこなかった。
家族ってなんだろう....。
ずっと疑問だった。
虹村さんがなんであんなに父親を大事にするのか。
家族を大事にするのか。
なかなか虹村さんが出てこなくて暇だったからカバンからノートを出して開いた。
「....それは?」
「....日記。」
「日記?」
「....うん。私たちは記憶を共有できないから。」
「なるほど。見せてもらってもいいか?」
そう聞かれて少し戸惑った。
でも私のことを知られたらどんな反応をするのか見てみたかったからノートを渡した。
「....おかしなことが書いてあっても....何も聞かないでね。」
釘を刺しておく。