第16章 お菓子と彼と
しばらく待合室で待っていると、名前を呼ばれてお会計した。
実はこの病院は虹村さんの勧め。
総合病院だから色んな科がある大きな病院だった。
私が診てもらったところは1Fにあったけど無駄に大きいから出口までが長かった。
「オメーら、先帰ってろ。俺ちょっと用事あっから。」
出口の近くまで来たときに虹村さんにそう言われた。
あ....そっか。
ここは....。
虹村さんが勧めたこの病院、虹村さんが勧めるからちょっと変だなって思ってたけどここは....。
「分かりました。では、さようなら。」
赤司くんが虹村さんに軽く頭を下げて出口に向かう。
私は虹村さんに向き直った。
「ねぇ。」
「なんだ?早くしねぇと赤司行っちまうぞ。」
「....ここに入院してたんだ....虹村さんのお父さん。」
少し背伸びをして小声でこう言った。
「なんで知って....!」
予想通り驚いた反応をした。
「さぁ?なんででしょうね?」
「っ?!きょ、今日はもう帰れ。その話の続きは明日だ。」
「はーい。」
なんて....大人しく帰るふりをして一旦出口から外に出た。
私は今自分でも怖いくらい笑顔で虹村さんと会話していた。
そんな自分がなんだか自分じゃないみたいで怖かった。