第16章 お菓子と彼と
由良side
私たちは今病院にいる。
私たちというのはもちろん虹村さんと赤司くんだ。
実はここまで来るのにかなり抵抗したが、男二人の力には結局敵わず無理矢理連れてこられたのだ。
今は診察を終えて待合室の椅子で二人に挟まれた状態で座っている。
「柏木、どうだった?」
「....どうって?」
「なに聞かれたとか言ったとかあんだろ色々。」
色々....ねぇ....。
そりゃあ手首切ったし聞かれましたとも。
でも嘘をついた。
本当のことを言ったらいけない気がして言えなかった。
「....別に....何も。」
「そうか。」
虹村さんは何か感じ取ってくれたのかそれ以上突っ込んでこなかった。
隣の赤司くんも読書をしていて声をかけられるような雰囲気ではなかった。
なにが悲しくて中学生三人でこんな重苦しい雰囲気の中病院の待合室で待ってなきゃいけないんだろうと思った。
ため息をついて、目を閉じる。
「おい、こんなとこで寝んなよ。」
「....寝ない....です。」
目を瞑る=寝る、と思われているのか....。
大体目を閉じると寝ちゃうことが多いけどさすがにこんな時間には寝れない。
ただいまの時刻 18:45