第16章 お菓子と彼と
「おい、ふざけんな!今俺を殺そうと首絞めておいて覚えてねぇとかほんとふざけんな!」
赤司に両手を掴まれている柏木の胸倉を思いっきり掴んだ。
柏木は涙を流しながら無表情で俺のことを見ていて、正直ゾッとした。
「おい、黙ってねぇでなんとか言えよ!」
「....離して....。」
「あぁ?」
「離して!」
「うっ!」
思い切り腹を蹴られて柏木を離した。
柏木は俺を蹴った後無言で自分のカバンからはさみを取り出した。
「お、おい....それで何するつもり....」
俺が言い終わる前にそのはさみの刃の部分を左手首に当てて思い切り切った。
その瞬間手首から鮮血が飛び散って床にも何滴か落ちた。
「....お前、自分が今何したか分かってんだろうな....?まさか忘れたとか言わねぇよなぁ?」
柏木はそのまま無言で動かない。
「おい、黙ってないでなんとか言えよ!」
「虹村さん落ち着いてください!」
頭に血が上って今にも殴りかかりそうな勢いだったのを赤司の冷静な声に止められた。