第16章 お菓子と彼と
「虹村さん、連れてきました。」
部室に行くと、虹村さんが椅子に座って待っていた。
気まずくて虹村さんの方をなかなか向けずにいる。
「おう、赤司。ごくろうさん。」
「じゃあ俺はこれで。」
そう言って、部室から出ていこうとする。
それを私が赤司くんの腕を掴んで引き留めた。
「柏木?」
「....。」
赤司くんが行かないよう腕を掴む手にさらに力を入れる。
「柏木、痛い....。」
赤司くんが痛がっている。
だが、頭では分かっているのに手にどんどん力が入っていく。
「痛いから離してくれないか?」
「....嫌。行かないで....。」
「....行かないから離してくれ。痛い。」
「....ほんと?」
「ああ。」
赤司くんが嘘をつかないと信じて腕を離す。
「そんなに俺と居たくないか?」
「はい。」
「即答かよ!もうちょっと考えてから言えよ!」
だって....。
「....怖いからやだ。」
「あ?」
「...っ...!」
顔が怖くて赤司くんの後ろに隠れた。
「あ。おい!」
赤司くんが困っている。