第16章 お菓子と彼と
「あぁ、そうだ。虹村さんがお前と話がしたいと言っていたんだが、行けそうか?」
虹村さんが....?
あんまり気が乗らない。
「....昼休みのことは何も覚えてないけど....。」
「それはもういいらしい。ただきちんと謝りたいと言っていたよ。」
「....謝る?何を?」
「謝るのだから虹村さんが柏木に対して何かしたんじゃないか?」
「...ふーん...。」
「で、来てくれるよね?」
赤司くんに有無を言わせない迫力で聞かれた。
ここで行きたくないなんて言ったら殺されそう....。
「....。....行く。」
渋々行く、と答えてしまった。
私はつくづく赤司くんには勝てそうにないなと思った。
保健室の先生に書き置きしてから保健室を出る。
外はまだ少しだけ明るくてちょうど綺麗なオレンジ色に染まっていた。
窓からそれを見てぼーっとする。
「柏木。」
ぼーっとしていると、名前を呼ばれてそっちを見た。
「早く行くぞ。」
赤司くんが立ち止まって待っててくれて、小走りでそこまで追いついた。