第16章 お菓子と彼と
「そうですか。」
赤司くんが何か考えている。
「柏木、紫原が来る前に一緒にいたの、虹村さんじゃないか?」
「...え....?」
「虹村さん、昼休みになにか甘いものを食べませんでした?」
「あ?いきなりなんだよ。食べたけどさ。」
「やはり....そうか。」
「赤司、納得してないで俺にも分かるように説明してくれないか?」
「はい。」
勝手に話が進んでいてついていけない。
赤司くんの話によると、私は紫原くんが来る前は虹村さんと一緒に過ごしていて昼休みに甘いものを食べた虹村さんの匂いが私にうつってそれにつられて紫原くんがやってきた。
とのことだった。
でもそんなこと言われても分からないからなんだか他人事のように聞こえる。
「柏木、どうだ?どこか違っているか?」
赤司くんが確認のため聞いてくる。
でも分からない。覚えていないから何も答えられなかった。
「柏木、どうなんだ?黙ってちゃあ、分からんぞ。」
「....知らない!覚えてないんだもん!....私だってなんで覚えてないか分かんないよ!」
気づいたら体育館に響く大声を出していた。
周りを見ると、みんなが驚いている。
はっと気づいて、すぐ謝った。
「....ご、ごめんなさい....。」