第16章 お菓子と彼と
部活前・・・
何かを忘れたまま、部活が始まろうとしていた。
「柏木。」
体育館の隅にぼーっと立っていた私に虹村さんが声をかけた。
「....なん...ですか?」
「....さっきは....悪かったな。」
さっき?なんのこと?
何を言っているのか分からなくて首を傾げる。
「....昼休みのことだよ!」
「...昼休み....。」
昼休みはずっと寝てた気がするけど....。
「も、もしかして覚えてねーとか言い出すんじゃあないだろうな?」
「....私、虹村さんに会うの....今が初めて....ですけど。」
思い切ってそう言った。
「は?昼休み過ぎまで一緒にいたじゃねぇか!ほんとに覚えてねーのかよ?」
そ、そんな大声で言わなくても聞こえてる....。
「虹村さん、どうかしたんですか?」
「あぁ?あ、赤司か...。
いや、柏木が昼休みのこと覚えてねーって言い出すんだよ。」
「昼休み、ですか?」
「俺ら昼休み過ぎまで一緒にいたのに忘れてるとかふざけんなって話だ。」
「もしかして、虹村さんも5限サボったんですか?」
「はぁ?サボってねーよ。ただ、柏木が5限の途中で起きるもんだから途中参加だけどな。」