第16章 お菓子と彼と
「分からない?ついさっきのことだろう?思い出すんだ。」
そんなこと言われても分からないものは分からない。
「紫原、これをあげるからお前は教室に戻れ。」
そう言って赤司くんが持っていたのはまいう棒。
紫原くんはそれをもらって大人しく教室に戻っていった。
「さて、柏木。5限サボってここにいた理由を聞こうか。」
「....昼休み....昼寝してて....ずっと寝てた。」
「紫原が来るまでずっと寝てたのか?」
違う...けど....。
でも....私にはそれを説明できない....。
だから嘘をつこう。
「うん。」
「本当に?」
「うん。」
「...そうか。戻るぞ、柏木。」
まだ怪しんでいるようだけどすぐに考えるのを止めて、私に手を差し出してきた。
あれ...さっきもこんなこと....。
「....うん。」
赤司くんが差し出した手を掴んで一緒に教室に帰った。