第16章 お菓子と彼と
「オメー相当眠かったんだな。夜ちゃんと寝てんのか?」
「....寝てる。」
「ほんとか?」
「うん。」
別に嘘はついてない。
起きてる時間のが長いけど寝てる時間もちゃんとあるし。
「そっか。ならいいんだけど。
てかこんなとこでゆっくりとかしてる場合じゃねぇよ。教室戻らねぇとやばい。」
戻っちゃうの....?
だったらもうこのまんま授業サボって寝てたい....。
「やだ。」
「はぁ?やだじゃねぇよ。戻んぞ。」
「やだ....。」
手を引っ張られたがそこから動きたくなかった。
そんなことを繰り返していたら急に虹村さんが手を引っ張るのを止めて、私に冷たい目を向けてきた。
「じゃあそこにずっといろよ。俺は戻るからな。」
いつもよりワントーン低い声でそう言い残して行ってしまった。
怒らせた、かな....。
わがままなんてやっぱり言うものじゃないなぁ。
ため息をつく。
ま、いいか。虹村さんなんてどうせもうすぐいなくなっちゃう人だし。
私は冷たい目で虹村さんが行ってしまった方を見た。