第1章 旅の始まり
アリババの家。そこで私とアラジンは彼にガン見されていた。
そして何だかアリババの瞳が輝いている気がしてならない。
「え…えっと……アラジンさん、ユキさん?」
いきなりかしこまるアリババ。
そんな彼に私とアラジンは首を傾げながらアリババの言葉を待った。
彼の目はアラジンの首にぶら下げてある笛と私の首にぶら下げてあるネックレスを見ている。
何だか物凄く興味を持っているようだけど、どうしたのだろうか。
「あ、あのだな…お前らのその…笛とかネックレスは……?なんかアラジンのなんてさっき青い変なのがにょきって出てきたじゃねぇか!」
あぁ、とアラジンと私はほぼ同時に納得してそのネックレスなどを手に取った。
そして興味津々で仕方ありませんという顔のアリババにこれについて話す。
『これは、ジンって呼ばれる物なんだって』
「(やっぱりな)」
あの不思議な部屋での思いで。
ウーゴ君のいる部屋で私はそんな彼にこれについてそう教わった。
ジンとは何なのかまったく分からなかったけれど、アリババに聞けば何か分かるのかもしれない。
「そ、それはやっぱりダンジョンを攻略したってことだよな?」
そして更に質問してくるアリババに隣のアラジンが首を振って答えた。
またネズミの通る音がして不気味だ。
「ううん、僕たちはダンジョンと呼ばれる場所へは行っていないよ」
たった一言、そうアラジンが言うとアリババは訳が分からないという顔をしながら更に話し続けた。
この人はダンジョン攻略というものが本当にしたいんだろうな。
「ダンジョンじゃない?だってダンジョン内の一番のお宝がジンの金属器ってやつなんだぜ?」
そしてこの彼の言葉に、アラジンと私は一緒に反応してうなずいた。
そう、ジンの金属器。私とアラジンはこれを探したくて一緒にずっと歩いてきた。
これには私も興味を示す。
『私達もそれを探しているのよ』
「そうなのさ!」
さっきとは違い強い食いつきで言うと、アリババは何だかにやっと笑った。
私もアラジンも何となく彼の言うことが分かって3人して顔を合わせた。
「この3人で、ダンジョン攻略に行こうぜ!!」
そんなアリババの言葉に、私もアラジンも力強く頷いて、私達は手を取り合ったのだ。