第3章 煌帝国
そして、私と紅覇は食事をしに行くために歩いていた。
ここは私が来た時に槍を突きつけられた場所。
そこには変わらずにあの兵士達がいて、今では怪しまずに普通に接してくれている。
その半分の理由はこの紅覇にあるんだけど。
「ほらユキ~、早くしなよ」
『ええ』
上機嫌で少し前から私を呼ぶ紅覇。
そんな、何だか子供っぽい彼に微笑みながら私は紅覇の元へと一歩踏み出した。
その時。
「紅覇お兄様?」
『?』
上機嫌な顔をした紅覇の近くから、ある女の子が顔を出した。
何だか、凄く可愛い女の子である。
桃色のような赤のような色をした髪の少女。
そんな彼女は紅覇を見るなり彼に近づいてすぐに私のことを見た。
「あぁ紅玉、丁度良かったよ。お前に紹介したい奴がいるんだ」
「…紹介?紅覇お兄様、その方は?」
「僕の友達のユキだ」
「なっ!?」
とても簡潔に話した紅覇の言葉に驚く紅玉……?は、もう一度私を見て何だか怒り顔になったのだ。
兵士達はただ黙って私達の会話を聞いている。
「ななな、貴方がお兄様の友達ですって!?」
そして、そんな中紅玉の素晴らしいまでに大きな声が私の耳を通り抜けた。
友達という単語1つでこんな大きなリアクションが。
少しだけ私は驚いていた。
この紅玉と呼ばれる女の子は、どんな子なんだろう。
『えっと…紅覇の言うとおり、ユキよ。よろしくね』
まだ性格などまったく分からないので、取り合えず挨拶をしておく。
しかし、彼女は何だか黙り込んだまま私をずっと睨み付けているのだった。
これは…何だか大変なことになりそうだ。
「こ、紅覇お兄様!わたくしは認めませんわ!み、認めませんわ!」
そして、それから紅玉はこう吐き捨ててなんとこの場から逃げるように去っていったのだ。
あの子と、もう少し話したかった。
モルジアナの時と同じように。
しかし、それは叶わなかった。
『……………』