第1章 旅の始まり
朝、目を覚ますとアリババが怒りながらまた私達を外に追い出した。
「お前達まだいたのか!」
『だって得にやることないし…』
「やることないしじゃねぇ!俺は俺で用事があんだよ!着いてくんなよ!」
相変わらず冷たい彼に私とアラジンは顔を見合わせてアリババの後ろに着いていった。
本当にやることないし、アリババに何だかついていきたいと思い私とアラジンはさりげなく彼の側にいたのだ。
途中からアリババも諦めていたしいいかなぁなんて。
そして呆れられながらも来た場所は商店街。
昨日と同じく人がたくさんいる場合である。
今日は昨日と違ってアリババという道案内がいるから何だか安心だ。
そしてアラジンは相変わらず楽しそうにはしゃいでいる。
そんな時。
アラジンが後ろにいた誰かにぶつかってしまい、その相手がこけてしまった。
ここは街の大通り。人もたくさんいるのに皆見てみぬふりである。
それに何だか怒りを感じながらも私はそのこけてしまった相手に手を伸ばした。
『大丈夫?ごめんなさい』
「ごめんよお姉さん」
しかし彼女は私の手は掴まずに持っていた物をすぐ集めて再び立ち上がったのだ。
赤髪の可愛らしい女の子。何だか本当に可愛らしくていいのに、そんな彼女の足首を見て私は首を傾げた。
これは鎖ではないか。
人間につけるものとは本で書いていなかった。
そう思いながらも、私はアラジンの方を見た。
するとその隣にいたアリババが私を立ち上がらせてくれ、こっそり耳打ちをしてきたのだ。
「…奴隷だ。この街では人間があぁやって奴隷にされて働かされてるんだよ…」
『………』
だから誰も彼女を助けようとしなかったのか。
そう理解して彼女が去ろうとした時、アラジンがすぐに彼女の元に駆け寄りその首に掛けてある笛を女の子の鎖に向かって一吹きした。
その途端に彼女の鎖は意図も簡単に外れて、私とアラジンは笑いあった。
「さぁ、これで君は自由だよ!」
『ええ』
しかし、喜ぶ私達に比べて周りの人…勿論アリババも皆、青ざめた顔をしながら私達の事を見ていた。
なんで、皆そんな顔をするのだろうか。