第3章 煌帝国
『あの…その友達を見つけるまでここにいてもいいかしら?』
そして、その事を紅炎を見て伝えると、彼より先に紅覇が私の言葉に反応した。
何処か明るく聞こえるのは気のせいだろうか。
「いいよ~、何だったらずーっと居てもいいんだよ」
艶やかな笑みを見せながら紅覇はこう言った。
そしてその後私に顔を近づけてニコッと笑う。
大人っぽいと思えば子供っぽくなり、子供っぽくなると思いきや実年齢に相応しい表情をする紅覇。
何だか、彼は不思議な人だ。
「そうですね、どうやら紅覇も貴方になついているようですし、私は構いませんよ」
「あぁ、好きなだけここにいるといい」
『え、本当にいいの?……ありがとう』
他の2人も紅覇の後に続いてこう言ってくれた。
何ともこの3人は優しい人達である。
さっきの槍人間達を見てきたせいか、ここの人間は少し警戒していたのだけど、もう安心である。
それにあの白龍という彼も。
この煌帝国と呼ばれる場所、そこがどう言った所なのか、今の私が知る由もない。
それに、紅炎という彼が一体どう世界に関わっているのかも、私にはまったくわからなかった。
これが、後にアラジンやアリババにも関わってくると知らずに。
そして、この煌帝国と私の位置付けなど、今は何も知らずに私は笑った。
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あれから1週間。
私はだいぶ慣れた煌帝国での一室にて目を開けた。
あの日、私は紅覇から部屋を与えられてずっとそこで過ごしている。
部屋の中はやはり赤で埋め尽くされていて、この豪華なベットも未だに落ち着かないでいた。
その時、コンコンと扉を叩く音が聞こえて私は"はい"と返事をしようとした。
しかし、それよりも早く扉は開く。
実は、この時間になるといつもの事である。
「おはよーユキー!今日も一緒に食事しよーよ~」
『ええ、そうね』
こうして笑い合う私達。
紅覇はどんな時でも大体私にぴったりくっついてくるのだ。
何かをしていてもユキ~なんて言いながら駆け寄ってくるし、暇さえあれば側にいる。
まるで兄妹のようであった。
しかし、こうなったのにはちゃんとした理由があった。