第3章 煌帝国
そんな彼を見て、私は頷いた。
『そうよ』
「はぁ!?って事はお前、金属器使いだったのか?」
ダンジョン攻略した事があり得ないというようなリアクションの紅覇に私は説得を始めた。
と言うよりかは、私の今までの経路を。
チーシャンという街にいた私はアラジンと歩いていて、アリババという青年に出会った事。
それから青年がダンジョン攻略をしたいと言ったので皆で行くことになったこと。
『……それで、ダンジョン攻略?したみたいね…』
いまいち実感が湧かないために、曖昧な説明になってしまったのだが、どうやらこの3人には通じたようで頷いてくれていた。
…マギという事は、何となく黙っておいたけど…
「成る程な、ダンジョン攻略をして他の奴に金属器が授けられるのはよくある話しだ。つまりお前は金属器を得られなかったのだな」
この中で一番理解の早い紅炎が私の説明にすかさずこう言う。
完璧な回答に私もすぐに頷いて3人を見渡せる位置から更に話し出した。
紅炎は相変わらず椅子に座ったまま私を見据えてる。
紅明は私から見て右側の紅炎の近くに。
紅覇は私の近くにいた。
『だから…本当に自分勝手だとは思うけど、私は彼らに会わなくてはならないの』
そして、本題に再び戻りこう言うと、少しの間があり紅炎がゆっくり立ち上がったのだ。
それには少しだけ驚いた。
紅炎の座っていた椅子の軋む音が一瞬して紅炎は口を開く。
「ではそのお前が言った友の名を多数の兵に知らせるとしよう。そうすれば何処かで名前ぐらいは聞いて情報を得られるだろう」
『え…いいの?』
こんなどうしようもない説明をしても、紅炎はなんと手配してくれると言った。
私の予想では納得して終了…だと思っていたから意外である。
人は、見かけに寄らないものだ。
「あぁ、友がいるのならば早く会いに行け。別に止めたりはしない、お前がここに残りたいと思ったのならば話しは別だが」
『……………』
そんな親切な言葉に私は下を向いた。
何だか、こんなに良くしてもらっているのに、私は何も出来ない。
そう心で深く思い、私はあることを決めた。
それは、情報が入るまで私はここにいたいという事。
つまり、煌帝国に彼らが見つかるまではいるという意味だ。