第3章 煌帝国
あの会議の後、紅覇が部屋まで案内してくれている途中で。
「何かあったら僕か明兄に言ってくれれば答えるし、他の奴に聞いても答えてくれるから自由にしなね~」
『ええ、ありがと』
「んー、あと何か質問とかある?何かの要望でも構わないけど?服が気にくわないだとか髪飾りが欲しいだとか。僕が揃えてやるよ。大体女の子は欲しい物が限られてるしね~」
『……………』
なんて、部屋までの会話中そんな事を言われたのだ。
それには即答せず、私は少し黙り込んだのを覚えている。
そして2人の足音が不意に消えて紅覇がゆっくり顔を除き込んでくる。
「どうした?」
心配そうな顔の紅覇。
そんな彼に私はある一言を彼に言ったのだ。
静かな赤い絨毯の廊下、私はそっと呟いた。
『…じゃあ、友達になって』
「えっ……」
あの時の紅覇の顔は、絶対忘れないだろう。
物凄く呆気に取られた顔をしていたから。
それはそうかも知れない、アリババの時も一瞬きょとんとしていたもの。
だけど、その表情は段々と笑顔になっていき、彼は一瞬にして私の手を取ったのだ。
ここには兵と呼ばれるあの槍人間がいなかったため、こんな紅覇を止める人もいない状態であった。
「友達………そうか…友達……」
『……?』
笑顔なのは良いのだが、私が友達と呟いた瞬間何かぶつぶつと話し出した紅覇を私は黙って見ていた。
しかし、それはどうやら彼にとって凄く嬉しい事だったようで、紅覇は一瞬にして私の肩を掴んできたのだ。
「よし、じゃあ今日からお前は僕の友達だ。と言うことだから、今日から食事とか一緒にして暇な時間は一瞬に何処かへ出掛けよう!」
どう見てもやんちゃな雰囲気の紅覇に私さえも少し呆気に取られてしまった。
だけどすぐに私も微笑みそれに頷いたのだ。
そして……それが1週間立った今でも続いているのであった。
紅覇は…どうしてそんなに友達という言葉が嬉しかったのだろうか。
「最近、紅覇があの女性にべったりだそうですね兄王様」
「あいつには友と呼べる奴は今までいなかったからな、嬉しいのだろ」
「そうですね」
などと、紅覇の兄2人が話していた事は、知らない。