第3章 煌帝国
やがて、色々と苦戦していたらいつの間にかある場所へやって来た。
先程よりも警備が厳しくなってきて、紅明がいて良かったと心から思う。
そして、そんな中紅明は立ち止まり私を見た。
「ここから先は、本来警備でさえ立ち入り禁止です。なので私から絶対にはぐれないようお願いします」
『…分かったわ』
警備が増えてきたと思ったら、どうやら今度は誰もいないのだと。
何とも不思議であった。
でもそんな場所に、その紅覇や紅明の兄がいるのだ。
何だか妙な緊張が私の身体を走った。
「では行きましょう」
そして私は、一歩足を踏み入れた。
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「兄王様、失礼します、紅明です」
まだ中には完全に入らずに声をかける紅明。
そしてそのまま彼は返事も待たずに中へと入っていったのだ。
なので私も慌てて後を追う。
『失礼します』
紅明に引き続き小さな声で挨拶して中へ入る私。
そして私はその第一印象に息を呑んだ。
広い王室の一際目立つ椅子に座る、ある1人の男性。
彼を見た瞬間、何だか私の胸は震え上がったのだ。
なんと言うか、とても威圧のある人である。
そう、言ってみれば…堂々とした人。
そんな感じであった。
誰も逆らうことを許さないと訴える強い瞳、目だけで相手を操れそうなオーラ。
その様々な恐怖が私にのし掛かり、私は冷や汗をかいた。
この人が、兄王様と呼ばれる人なんだ。
そう改めて思った。
そんな時。
「ってユキ!?お前こんな所で何やってんだよ!?」
『あ…』
冷や汗をかいている私の肩を、軽く叩いた人がいた。
それは勿論、ずっと探していた本人である紅覇だ。
彼は色々と困惑しているようで、私や兄王様という人や紅明を見ながら口を開いていた。
書物がたくさんあり、本が並ぶこの場所。
そんな静かな中紅覇の声が響いていた。
「明兄まで何してるの!?」
これは、かなりの慌てようである。
それはそうだ、いきなりさっき拾ってきた人間がこんな立ち入り禁止区間に堂々と入ってきたのだから。