第3章 煌帝国
何だか、何処から突っ込んでいいのか分からずにただ呆然と立ち尽くす。
すると、そんな私を見て紅明が少し微笑んだ。
彼は微笑むととても印象が変わる。
「ですが、どうやら紅覇が貴方に服などを差し上げたようですね。綺麗ですよ」
『ありがとう』
そしてそのまま彼はこう言って更にニコッとした。
少しだけ警戒してたけど、段々紅覇と同じオーラのように感じたので私は安堵の溜息をついた。
周りの人間は誰1人動かずに大人しく止まっている。
よく見ると、槍を持った男の人だけでなく、ちょくちょく女性もこの建物の中にはいた。
何となく予想するとこの建物の掃除や管理などをしている人なのかぁと思う。
そしてそんな彼らや彼女らを見た後、私は再び紅明を見た。
すると不思議そうな顔をする彼。
「そう言えば、貴方はここへ何しに?」
『え…?あぁ、紅覇を探しに来たのよ』
彼が不思議がっていた理由が分かって私はすぐに答えた。
すると彼はまた無表情に戻って首を縦に振ったのだ。
「成る程。紅覇なら今兄王様に呼び出されてそちらにいますよ」
『兄王様?』
彼のその言葉に疑問を感じて私は首を傾げた。
兄王様というと、兄とか?なのかな…
などと1人で苦戦していると、紅明はまた微笑んで私に言った。
「私と紅覇の兄ですよ。あそうだ、折角なので兄王様に挨拶しに行きます?お連れしますよ?」
『えっ』
やっぱり兄だったか、などと呑気に思っていたら、紅明はそう言ってすぐに歩き出す準備をした。
これは、行くというしか選択肢がないではないか。
と肩をすくませて私は頷いた。
『じゃあ、お願いしていいかしら?』
「はい」
そして何だかんだで、私はその2人の兄である人に会うことになった。
お偉い2人の更に上のお偉い人。
つまり、物凄く高貴な人という事なのか。
ここら辺はアラジンと本を読んでいたため、何となく位置付けは分かっていた。
だから、もしかして"様付け"で呼ばなきゃ私は殺されるだろうか。
などと悪戦苦闘しながら私は歩いていた。