第3章 煌帝国
そして、白龍に言われてやって来た大きな建物の前。
私はそれを一時停止しながら一瞬見て、すぐに足を踏み入れた。
この中に紅覇がいるのならば探しに行かなきゃ意味ないし…
そう思いながら私はその建物の中を見渡した。
何か、きれいな場所である。
いや簡潔にまとめたら駄目な場面なんだろうけど、そう言うしかなかったのだ。
だって、あまりにも広くて豪華だったから。
そしてすぐ。
私はまた人間に槍を突きつけられた。
何か慣れてしまったけど、どうもここの人間の数はさっきとは比べ物にならないほど多かったのだ。
なので溜息をつきながら私は声を発した。
『あの…私紅覇を探しているのだけど』
そう呟くと周りの人間達は更に私を警戒して槍をもっと近づけてきた。
「紅覇様を呼び捨てにするとはお前どんな無礼を!」
……呼び捨て?
そういえば思い返すと、紅覇は皆から"様"と言われていたことに気づく。
もしかして紅覇は高貴な人なのだろうか、などと今更考える私。
そして、更に思い出せばアリババにも"いきなり呼び捨てかよ"と言われた記憶が。
何だ、とても失礼な事だったのか。
そう一人で考え込んでいると、向こうから声が聞こえた。
思わず紅覇だと思い勢いよく見たが、彼ではなかった。
「何事です?」
彼は、紅覇と同じく赤髪の青年であった。
なにやら手には不思議な物を持っている。
そしてそんな彼がやって来た瞬間またまた礼儀正しくなる周りの人に私は首をかしげた。
この人も紅覇と同じくお偉い人なのだろうか。
そう思って彼の事をガン見した。
「ん?貴方はもしかして、紅覇が先程嬉しそうに報告してきた新しい仲間ですか?」
『は?』
突然そんな事を言われて私は思わず変な声を出してしまった。
周りの人が睨んでいるのを見て、やってしまったと思う遅い私。
しかし、その人は何にも表情変えずに私に続けた。
「あぁ、私は紅覇の兄である練紅明です。先程ですね、紅覇が"汚い女の子拾ったから仲間にしてやった"と言ってきたんですよ」
『……はぁ……』
いや、まず紅覇の言葉に疑問を感じたけど、それもそうだけど何よりこの紅明と言われた人がそれについて無表情で話している事に驚いていた。