第3章 煌帝国
そして暫くして。
私は3人の女性の助けを借りながらもやっと完璧に仕上げる事が出来たのだ。
「まぁ!美しいわ!」
「やはり紅覇様は見る目がいいですわね!」
「綺麗よ」
仕上がって鏡の前にいると、3人の女性はそれぞれに感想を言ってくれた。
それが嬉しくて思わず顔が緩む。
そして私は3人の女性に深くお礼を言って紅覇の元へ向かった。
────────────────────
『……紅覇?』
外に出ると、紅覇がいなかった。
きっと何処かに行ってしまったのだろうと思いながら私は紅覇探しを始めたのだ。
とにかく部屋には入らないようにして外を歩き回る。
すると、少し歩いた先に、ある人間が剣を振り回していた。
どうやら剣の稽古をしているらしい。
そう解釈した私はその人に近づき声をかけた。
『あの、練習の所申し訳ないのだけど…』
「?」
すると、こちらを振り向くその人。
よく見れば、彼の顔には火傷がありかなり痛々しそうであった。
そして彼はきょとんとしながら私を見る。
「はい…?」
何だか不思議な物を見るような顔をしながら私を見る彼に、私はキョロキョロしながらも尋ねた。
『あ…私ユキと言うのだけど、練紅覇って人知らない?』
そう小さな声で質問すると彼は優しい微笑みをしながら向こうを指差して声を発した。
何だか優しい雰囲気の人だ。
「あの方なら、先程あちらに向かわれましたよ」
指差す方は、ある大きな大きな建物。
何だか分からず息を呑むと彼は剣を構えるのをやめて私を見てきた。
「どうかなされたのですか?」
『あ…いえ……ありがとう。…貴方は?』
心配してくれた彼に私は曖昧にお礼を言って名前を聞いた。
何か……ここは良い人もいれば悪い人もいるらしい。
そしてそんな彼はまたまた優しく微笑みながら手を前に合わせてこう言った。
「俺は練白龍と申します。…ユキ殿…ですよね、宜しくお願いします」
『あ、いえいえ、私こそ宜しくね』
物凄く礼儀の正しい彼。
そんな練白龍と言う彼にもう1度お礼を言って私は急いで紅覇の元へと向かった。