第3章 煌帝国
「何を言っている!ここにどう来たのか分からないだと!?ふざけているのか!」
いや、物凄くふざけてなくて真面目な話しなんだけど…
と、彼らの言葉に思いながら私は頭を悩ませた。
ここはなんと言えば信じてくれるだろうか。
意識のない内にここにいたと言っても絶対また同じ事を言われるだろうし。
そう考えていた時、ある1人の人間が私の髪を掴んできた。
『いたっ……』
この人は槍を突きつけてくるうちの1人である。
私はその手を払おうとしながらもそれが出来ずにいた。
「お前は、ただの不法侵入者だ。今すぐ出て行け、さもなくば殺すぞ」
『…………』
ここは本当に何処なんだろうか。
普通はこうして何処か分からない人にまずは何処なのか教えてくれる所だろうに。
こういうような場所もあるらしい。
だからふと、私はアラジンが心配になった。
そう思いながら、更に髪を引っ張ってきた人間。
流石にネックレスを使って人間達を遠ざけようと覚悟した時。
「ちょっと、何してるの~?」
『…?』
不意に、何処からかだるそうな…いや、元々こういう喋り方なのか…そんな声が聞こえて私はそちらを見た。
すると、その声が聞こえた瞬間に何だか姿勢を正す人間達。
私はそれに首を傾げながらその声の本人を見た。
そこには、赤髪の青年がいた。
向こう側から私を見つめてゆっくりやってくるその人。
私は思わずガン見しながらもその場から動かないでいた。
「ん?お前、誰?」
『………ユキ』
「ふーん」
沈黙。
なんか、何だろう。私の名前を言ったら返事がふーん1つで終わるとは。
そして更に沈黙になるとは。
実に微妙な気持ちであった。
しかしそう思っている間にも、その人は何だか次の瞬間それは美しく笑って私の髪を撫でてきたのだ。
「僕はねユキ、練紅覇って言うんだよ。お前何か汚れてて汚いから綺麗にしてやるよ」
そう言われて私は思わず目が点になった。
とにかく、言葉は悪いけどこの人は良い人なのかな。
そう理解できて私は彼に少し心を許した。