第2章 友達
アラジンとアリババが私を呼ぶ中、モルジアナの元に一直線に走る私。
やがて彼女の元についた時、モルジアナは心底驚いた顔をして私を見た。
『モルジアナ、帰ろう!』
ダンジョン内が酷く壊れていく中私は叫ぶように言う。
しかしその言葉にモルジアナは首を横に振るだけであった。
「領主様がっ……」
『……………』
彼女は一体、どんな辛い事を領主にされてきたのだろう。
ここまで私達を拒否していると、余程の事があったのだと理解できた。
だから私は今領主に恐る恐る触れようとしたモルジアナの手首を掴んだのだ。
勿論驚く彼女。
『もう、貴方はこの人に従わなくていいの。もう自由なのよ?貴方は故郷が見たいのでしょう、だったら見に行こうよ、夢を諦めるなんてしないでよ』
「っ………」
そう訴えかけるように話しかければ彼女は泣きそうな、悔しそうな、嬉しそうな、複雑な表情をして私の伸ばす手に触れようとした。
しかしそれさえもまだ戸惑うモルジアナ。
…その時
「……いけ……モルジアナ…お前はこんな……男に従うことは…ない……」
『………………』
「ゴルタス!?貴方、喋れたの…?」
すぐ側で横たわっていたゴルタスという人が起き上がり、モルジアナにそう言った。
彼は、私を抱えていた人だ。
領主にやられた見える傷が痛々しく見える。
そんな彼は、声が途切れ途切れになりながらもこう言ったのだ。
それにモルジアナは流石に心が折れたらしく、今度こそ少し涙を流して私の手を握った。
「っ、すいません…私も帰ります…」
『ええ』
そしてそんな、領主に縛られた女の子はこうして自由の身となったのだ。
急いでアラジンやアリババの元へ走る。
そしてアリババとアラジンが差し出す手を掴んだ瞬間、私達は光の帰り道から外へ向かう事ができた。
ダンジョンが見えなくなると、私達はまた異世界のような所に飛ばされた。
ここは何だか不思議な空間である。
そして、1人だと思っていた私の肩をとんとんと軽く叩くアリババが近くにいたのだ。
「よっ、一緒だったな!」