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漆黒の髪のマギ

第2章 友達


この人は何だか、見ていてかなり痛い人である。


そう深く思いながら私は右手を前に出して下から上へとくいっと手を上げた。


『なら、自分で取り戻すわね』


「………?」


私の動作と言葉に茫然とする領主を感情のない目で見ながら私は小さく唱えた。


これは、誰にも聞こえない…特別な呪文である。


『…………………………………………』


そして、その唱えと共に、私の前にはアラジンの笛と私のネックレスが現れた。


それを見た瞬間焦りながらその道具を自分の服から探し出す領主。


だけど勿論、領主が隠し持っていたものはすでに私の元にあり、領主の元には何もなくなっていたのだ。


「な……何だその魔法はっ……」


目の前の領主はそれを知って絶望の顔を私に向けてきた。


これでようやく、大人しくなるだろうか。


冷や汗をかいて私をわなわなと見てくる領主を無視しながらアラジンの元へ向かった。


『はい、アラジン』


「ありがとうユキ、僕の大事なウーゴ君を取り戻してくれて!」


取り戻した笛をアラジンに渡すと、彼は満面な笑顔でお礼を言ってくれた。


それに私も笑顔で返す。


とにかく、ここは一件落着と言っていいのだろうか。


そう思っていると、アリババが嬉しそうに私を見た。


「やっぱお前スゲーな!次は俺が絶対助けてやるからな!」


『ほんと?じゃあ楽しみにしてるわ』


また私の好きなあの笑顔で微笑んだアリババに少しやんちゃ気味にこう言えば、彼は迷いもなく頷いてくれた。


彼の周りのオーラは、心地のよいものだ。


そしてそう思っていた時。





















「!?」



















なんと私が立っていたその後ろ側から大きな光が広がったのだ。


眩しくて私もアラジンもアリババも手で光を隠す。


そして、その大きな光がおさまり始めて、私の目にはなにかが見えた。


それは、青い巨人。


まるで、ウーゴ君そっくりであった。


そしてそんな大きな巨人は少し周りを見渡すと一言だけ皆に問いかけてきたのだ。

















「王になるものは?」




















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