第2章 友達
魔法のターバンに乗りながら街の様子を上から眺める。
あまりの静けさに、ターバンに乗っているアリババが何だかそわそわしていた。
そしてそうやって徘徊していくうちに、ある大きな扉をまた見つけたのだ。
よく見ると、先程の扉と同じ形であった。
「ここ…なのか?」
不安があるのか、私の隣に座るアリババがボソッとこう呟き、私は頷いた。
『ここが正解かは分からないけど、とにかく行ってみないと分からないわ。だから行きましょう』
「そうだね、ユキの言う通りさ。アリババくん、いいよね?」
「おう!」
そして私の言葉に2人は賛成してくれたので、私とアラジンとアリババは魔法のターバンから降りてその扉を開いたのだ。
「『…………』」
扉を開くと、そこは石でできた物がたくさんある場所であった。
思わず私もアラジンもアリババも無言になり佇む。
なんと言うか、とにかく静かだ。
すると、少ししてアリババが苦笑いしながら私とアラジンに笑いかけてきた。
「こ、ここは違ったみてぇだな!次行こうぜ!」
『そうね、何だかそのアリババが言うお宝みたいなのはここにはなさそうだし…』
「僕もそう思うよ」
アリババの言葉にそう私達が答えると、彼は一旦さっきの街に戻ろうと後ろを向いた。
それに続き私も後ろを向く。
『!?』
その瞬間、いきなりアラジンが何者かに飛ばされたのだ。
一瞬の出来事で、頭が追い付かない。
しかし私はその後、その人物を見て悔しくなるのだった。
だってそこには…
モルジアナがいたから。
「アラジン!!…っくそ、ユキ気を付けろ!」
『……モルジアナ……』
そしてそんなモルジアナの後ろには、もう"無"の顔となった領主がいた。
更には、あの私を背負っていた男の人はぐったりと倒れていたのだ。
恐らく、領主に何かされたのだろう。
そう思っていると、アリババが私の前に立って庇ってくれた。
それを見て領主は剣をアリババにつき出す。
「…随分と酷い目に合ったようだな…」
そして、そんなアリババの言葉に領主はとうとうぶちギレた。