第2章 友達
アリババから聞いた話しだと、私が意識を失ってから彼は領主に罠避けに使われたらしい。
モルジアナの言っていた事と同じである。
そしてその罠避けの中に、言葉の翻訳をあえて領主に誤訳として教えた事で、アリババは無事だったんだと言った。
ということはその誤訳を教えられた領主は、今頃さぞかし辛い思いをしていることだろう。
そんな考えが出せたアリババは本当に凄い。
「そんで、このでけー扉を見つけたんだ」
そして、最後にこう言ってアリババはその大きな扉を指差した。
ステンドグラスが刻まれた綺麗で美しい扉である。
「あ、これ…ここに左手のマークが2つあるね」
そんな扉を見ながら、隣にいたアラジンがボソッと呟いた。
彼が指差した所を見ると、そこには本当に左手のマークが2人分あったのだ。
つまり、この扉は2人いないと開かないのだろう。
それを理解した私は、2人と目を合わせて頷いた。
『じゃあ、私達がいればここ開くね』
「あぁ!ユキとアラジンの協力が必要だな!」
私の言葉にアリババはニッと笑いこう言った。
それに私とアラジンは頷き、2人で片方のマークに手をかざした。
そしてもう片方へはアリババが手をかざす。
すると、その扉は光を放ちながらゆっくりと開いたのだった。
「よし、やっとお宝か!?」
そして扉が開いた瞬間によく周りを見ずに飛び出したアリババの服の裾を私は素早くつかんで歩みを止めさせた。
「…っ!?!?」
すると、あとギリギリで落ちる所だったアリババは本当に少しの所で歩みをストップさせたのだ。
見ると、そこはまだお宝という物があるところではなかった。
私達がいる場所はかなりの高さである場所。
そして、その下には静寂の街が広がっていたのだ。
ここは恐らく、ネクロポリス。死者の街である。
「って何だここ…ユキがいなかったら俺死んでたぜおい……」
『………』
「ここはネクロポリスだね、ユキ」
『そうね』
やっと危機感が分かり震えたアリババに、アラジンと私は落ち着いてそう言った。
ここはどうやら、アラジンの魔法のターバンで移動するしかないらしい。