第2章 友達
取り合えず今の状態をまとめると、まずアリババは生きているということ。
そして赤髪の少女はアリババが死んだと思っていることだ。
アラジンと私は元々何にも知らなかったため、どちらが正しいのか分からない。
しかし赤髪の少女が嘘をついているとはとても思えなかったし、アリババが生きている事は事実だったので、私は小さく微笑んでからアラジンに目で言葉を訴えかけた。
"魔法のターバンの用意をお願い"と。
それはすぐにアラジンに伝わったようで、彼も心して頷いてくれた。
そして私は、そんな中赤髪の少女と話しをしたのだ。
『アリババは、どうして死んでしまったの…?』
小さな声でそう訪ねると、彼女は苦しい顔のままその質問に答えてくれた。
やっぱり彼女は、きっと領主に縛られているだけで本当は自由でいたい、優しい子なんだろう。
「…貴方の友人は…領主様に罠避けに使われ、それを実行したために、死にました…。あの人は大馬鹿な人です!」
『……』
静かな空気の中、そうしっかりと考えを持って答えてくれた少女に私は微笑みかけた。
私には分かる、この子はとても心が広く優しい優しい女の子なのだと。
『貴方は優しいのね…名前は?』
突然話題が変わったように彼女に問いかけると少女は一瞬キョトンとした顔をして向こうを向いた。
そして小さな声で私に名前を教えてくれたのだ。
「…モルジアナです…」
『モルジアナね。貴方の事、気に入ったわ』
恥ずかしそうに名前を教えてくれたモルジアナに私がそう言うと、彼女は更に恥ずかしがって下を向いた。
こう言われるのに、慣れていないのだろうか。
「な、何故…私は奴隷の子です…こんな私を気に入ったなど…変わった方ですね…」
『そうかな?だってね、何だか貴方からは何か大きな夢を感じられるのよ』
「…夢、ですか?」
会話を続けていく中で、モルジアナは少しだけ輝いた瞳でこちらを見ながら問いかけてきた。
私はそんな女の子に笑顔を崩さないまま話し続けたのだ。
『奴隷とか、関係なくモルジアナがやりたい事は?』
幼いながらに輝きを放つ彼女にたった一言この言葉を投げ掛ければモルジアナは少しだけ泣きそうな、嬉しそうな目をしながら答えてくれた。
「私は…故郷に行ってみたいです」