第2章 友達
あれから、私とアリババはすぐにアラジンの元へ向かい休憩した。
ここは罠も仕掛けもないようで、安心できる所である。
「にしてもやっぱユキとアラジンはスゲーな!!」
『そう?嬉しいわ』
「まったく、どうやったらあんな技出せるんだよこのこのー!」
なんて、私達はふざけあっていた。
私は、こんな明るい人と友達になれた事が凄く嬉しい。
だから何となく、このダンジョンはすぐに攻略できると信じていた。
「にしても…俺は本当に2人に助けられてばっかだ」
『そんな事ないよ、アリババだってアラジンを助けてくれたもの』
「ははっ……でもほんと……思えば助けられてばっかなのに、俺ってお前らの事なんも知らねぇんだったなって思ってな…」
いきなり改まって話し出すアリババに、私は黙って彼を見つめていた。
そしてアリババは上を見ながら話し出す。
「ダンジョン攻略とかってよ、やっぱ互いに協力してこそだと思うんだ。そのためにはお互いの事をよく知って、認めあって、それでこそ仲間ってもんじゃねぇかなって思うんだ」
『………』
「だから、お前らの事、聞かせろな!俺はお前らのことなんも知らねぇ、親の事とか、故郷の事とか!」
『……えぇ、アリババも教えてね』
「勿論だ!!」
そして、私とアリババはこんな約束をして指切りをした。
この人は本気で私達の事を思いやってくれているんだ。
そう確信して、私は小さく微笑んだ。
その時。
「?今、向こうから音しなかったか?」
『えぇ…誰か来たのかしら?』
突然、静寂であったこの場所の向こうから誰かの歩く音が聞こえた。
それに私とアリババは一気に警戒を始め、そちらを睨み見た。
やがて少しして再び静寂が戻った時、私達の目の前には思いもよらぬ人物が現れたのだ。
「…いました」
「おぉ、こんな所にいたのか、よくやったぞモルジアナ!」
『…………?』
やって来たのはなんとあの赤髪の少女…そして2人の人間だった。
アリババがそのチャラそうな男に攻撃しようとすると、赤髪の少女がアリババを吹き飛ばした。
そして1人の男が私の前に立ちお辞儀する。
「ずっとお待ちしておりました…"マギ"よ」