第2章 友達
「くそっ、何なんだこの生き物!」
私とアリババは互いに背を向け合い緑の怪物を見ていた。
見た所、かなりの量がいる。
アラジンも今は安静にさせてあげたい。
そう思った私は深く息を吸って地面を蹴った。
そして、ぽっちゃりにやったときのように勢いをつけて足を振り上げ私はその怪物を蹴り飛ばした。
『!?アリババ、この緑、物凄く脆いわ!』
そして、蹴った時の感触をそのままアリババに伝えると、アリババは頷き剣を振り回した。
どんどんと怪物を倒していくアリババ。
あの剣の使い方は、とても素人とは思えない上手さであった。
「よしユキ!ここは俺に任せろ!アラジンと何処か安全な場所に隠れてろ!」
『わ、分かった!』
左手を後ろへ、右手で剣を持つその姿は、まるで勇者のようであった。
私は気遣ってくれたアリババに感謝しながらアラジンを抱え穴に隠れたのだ。
様子を小さな穴から確認する。
だけどどうしても放っておけなくて、私はアラジンが大丈夫な事を確認してから再びアリババの元に戻った。
『アリババ!やっぱり私も手伝う』
「ぅえっ!?お前は休んでろって…」
『ただ見ていろって……?』
「っ!!…分かった、頼む!!」
最初は許してくれなかったものの、私が真剣な顔で訴えればアリババは仕方なくというように許してくれた。
私はそのまま緑の怪物を蹴っていく。
そして全部を倒しきったと思った時、なんとその緑の怪物は合体して巨大な緑怪物となったのだ。
「何だよこれ!」
『合体したわねスライム』
「おいユキ、戦闘中に笑わせるな」
『分かった』
と、目の前の敵を無視して話していると、緑怪物は思いっきり腕を降り下ろして来て、私とアリババはそれを余裕で避けた。
「協力して倒そう!」
『ええ!』
何だか、凄く楽しかった。
敵を倒して戦っている筈なのに、こうして仲間と協力できることが私には凄く嬉しかったのだ。
身体も何だか軽くて、緑怪物なんてすぐ倒せると思えた。
そして私は最後に一番力を込めてその怪物を殴ったのだ。
やがてその攻撃をまともに食らった怪物は跡形もなく姿を消した。
「よ、よっしゃあ!!」
そして私とアリババは、お互い手を合わせ喜びあった。