第2章 友達
「…………ぃ…………ぉぃ………おい!」
『!?』
「大丈夫か!?」
目を覚ますと目の前にアリババが見えた。
どうやらダンジョンには無事ついたらしい。
そしてそんな慌てるアリババに私は笑いかけて頷いた。
『ええ大丈夫…アラジンは?』
ゆっくり起き上がりアリババにそう問いかけると、彼は首を横に振って辺りを見回した。
「俺もさっき目を覚ましたばっかなんだ…アラジンはまだ見つけてねぇ」
そんな言葉に私は一瞬下を向き、すぐに立ち上がった。
よく見ると、周りは普通の外の世界とは大違いの、いかにもダンジョンのような雰囲気であった。
ここからは、十分に気を付けなきゃいけない。
そう覚悟を決めて私はアリババと歩き出した。
「そういえばよ、ユキはアラジンと何処で知り合ったんだ?」
歩きながら話していると、ふとアリババがこんな質問をしてきた。
それに私はすぐに答える。
『アラジンとは、ずっと一緒に育ってずっと一緒にいたから…知り合ったとは言わないかな』
それだけ言うと、アリババは驚きながら私を見てこくこく頷いた。
「つまり、アラジンとユキは姉弟なんだな」
『それは違うかな』
「えっ……?」
納得した瞬間また不思議がるアリババに私は少し微笑みながら話した。
アラジンとは、私の初めての友達であり、とっても大切な存在なのだと。
そう言うと、アリババは何だか素っ気ない返事をして私より前を歩き出したのだ。
「お、俺も友達だろ……」
どうやら拗ねたようだ。
とても小さい子のようにふて腐れるアリババに私は笑顔で頷いて見せた。
『そう、だからアリババは私の大切な存在になったわ』
そう言うと、顔をパッと輝かせるアリババ。
彼も、友達という立場が凄く嬉しいようだ。
分かりやすいもの。
そんな彼と笑い合う。
その時、よく知る少し高い声が近くから聞こえてきた。
「2人共楽しそうだね」
「『アラジン!』」
なんとそこにはこっちに手を振るアラジンが。
私とアリババは2人してアラジンの元に駆け寄り手を取り合った。
良かった、これで皆集まったみたいだ。