第2章 友達
そんな私達の言葉にアリババはキョトンとしながら口を開いた。
「おまっ…そんな願いでいいのか?」
『そんな願いって…これはれっきとした素晴らしい願いよ』
驚くアリババに私はそう呟く。
ターバンの上は風が心地よくて良いものだ。
そしてそんな風がアリババの髪を揺らした時、彼はニッと笑い私達に手を伸ばした。
「ったくそんな願い…もう俺らはとっくのとうに友達だっての!!これからも宜しくな!」
輝く彼の美しい瞳を見ながら私やアラジンは笑う。
彼は本当に素晴らしい人だと…これからももっと素晴らしくなると、私はそう思いながらアリババの手を握った。
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ダンジョン目の前。
鏡のような物の前に私達は立っていた。
「ここに指一本でも触れたらダンジョンに引きずり込まれる……」
そうゴクリと緊張ぎみに話したアリババに私とアラジンは頷いた。
そして足を踏み入れようとすると、何故かアリババに止められる私。
『?行かないの?』
何だか冷や汗をかくアリババに疑問をぶつけると彼は何だかふんっとしながら語りだした。
一言、彼はダンジョンに入って帰ってこられなくなるということがまだ躊躇っていて怖いのだろう。
と理解できてしまった。
「ほ、ほらユキ!ダンジョンは危険な場所なんだ!しっかりと心の準備をして後は──」
と、アリババが語りだした瞬間に、私は彼を小さくつんと押した。
すると、鏡にアリババは触れ、そのまま青ざめた顔のまま姿を消したのだ。
「僕達も行こうか」
『ええ』
先に緊張していた本人を無理矢理ダンジョンに押し込み、私達はその後にすぐアリババの後を追ったのだ。
鏡に触れた瞬間にマグネットのように引き寄せられる身体。
そして私は、あっという間に異世界のような空間に来ていたのだ。
ここは、見覚えがある。
そうだ、ウーゴ君に送り出された時になんとなくここを見た覚えがあるんだ。
そう思いながら私は、いつの間にか意識を手放していた。
ダンジョンに入った3人。そのすぐ後に、あの敵となる人間が"マギ2人"に会うためにダンジョンへと入った事は、まだ知らない。