第2章 友達
あれから魔法のターバンで移動し続けて暫く。私とアラジンとアリババの3人は心を強く持ってダンジョンに向かっていた。
すると、一番前に座っていたアラジンがふと呟く。
「ダンジョンってあれかな?」
彼が指差す方。そこにはとてつもなく大きな建物があり、何だか雰囲気でそれがダンジョンなのだとすぐに分かった。
そしてそれを見て勢いよく頷くアリババ。
とても期待に満ちた顔をしていた。
「あぁ!あれがダンジョンだ!」
『皆、頑張ろうね』
「おう!…ようやくこの時が来たんだな…」
「ユキ、何だかわくわくするね!」
アリババが何かをしみじみ思い、アラジンが楽しそうに笑う。
そんな中、私も笑顔で頷いた。
もしかしたら、このために私達は旅に出たのかな。そう思えた瞬間であった。
すると、何だかアリババがいきなり私とアラジンをチラチラ見始めたので、私は首を傾げる。
アラジンもその視線を感じて彼を見る。
2人に見つめられて更にもぞもぞとするアリババは、やがて小さく口を開いたのだ。
「その…よう…。さっきの事とかもだけど…お前らには何だかんだ助けられちまってるよな俺…」
何をそんなに改まっているんだろう。
いきなりさっきの事を話し出すアリババを、私達は変わらずに直視する。
『いきなりどうしたの?』
「いや…俺なんか、ほんと役立たずで何にも出来ねぇクズだってのに、お前らはそんな俺を助けてくれるだろ?」
頭を小さくかきながら照れぎみに話すアリババに、私とアラジンは微笑んだ。
そんな、自分の事クズとか言ってほしくない、アリババはそんな人じゃないんだから。
『当たり前じゃない。貴方はとても優しい人。そんな貴方を助けるのは当たり前の事よ』
「そうさ、君を見て僕もアリババくんを助けたいって思ったんだ!」
2人でそんな彼にこう答えると、アリババは途端にパッと笑い私達に身を乗り出して聞いてきた。
「あ、ありがとな!ユキも…女の子だってのに、助けられてばっかりだ…。そうだ、礼というか…なんか願いあれば俺が叶えてやるよ!助けられてばっかりだったからな」
身を乗り出しながら彼は考えた結果こう言った。こんなこと言われたら、私とアラジンの願いはただ一つである。
『「友達になって!」』