第5章 第2ボタンをあなたへ/黒子テツヤ・青峰大輝
ずっと相談相手だった青峰。
桃井とは幼馴染みでもあり、黒子とはチームメイト。二人の身近にいる彼なら、二人の関係について知っていると思い、声を掛けたのが始まりだった。
「……お前だったから話も聞いた。相手がテツだったから」
そう言いかけ、青峰は立ち上がった。
「……青峰?」
「ンな顔すんなよ」
大きな手が乱暴にの頭を行き交う。何となく、青峰が言いたいことがは分かった。プライドの高い彼だから、深くは言わない。
「……青峰くん!」
「遅かったな、テツ。……じゃ、俺行くわ」
立ち去ろうとする彼のシャツをは掴んだ。
「……ありがとう! 頑張ってみる!」
真っ直ぐな彼女の瞳に青峰は頭を掻きながら、視線を逸らせ、黒子の方へと歩いていった。
すれ違い様、黒子の肩にポンと彼は手を置き、低い声を耳元に落とした。
「……アイツの事、泣かせんなよ。アイツが辛そうにしてたら、すぐお前から奪ってやる」
それに対し、黒子は正面にいるを見つめ、いつもの静かな口調で言い放った。
「挑むところです。誰にもさんは渡しません」
「まっ、精々頑張れよ」
黒子に背を向けたまま、青峰は手を振り去っていく。黒子も前へ歩を進め、へ駆け寄った。