第5章 第2ボタンをあなたへ/黒子テツヤ・青峰大輝
好きな人につれられ、歩いている。
そんな夢心地の。
「(このまま時間が止まればいいのにな……)」
後ろから彼に視線を送っていると、振り向いた彼と視線がぶつかる。
「……大丈夫」
この一言と、彼の柔らかな微笑みにの頬は素直に彼女の思いを色で表した。
何故だか、これまでも彼に「大丈夫」と言われると、どんなに苦しい状況に立たされていても大丈夫だと思えた。……高校受験も、その1つ。
どうしても行きたい志望校。
けれど、一学期のの学力では受かるかどうかの瀬戸際。
諦めるべきか……と悩んでいると、彼が言った。
「目標に向けて、何か少しでも努力したのですか? まだ何もしていないのに諦めるのは早いです。
……大丈夫。まだ時間はあります」
この言葉がにどんな時も寄り添い、影でサポートをしてくれた。きっと、明日の合格発表も良い報告が出来るだろう。
先ほど、担任と抱き合った時。
彼女に担任が「本当よく頑張ったな! ……"おめでとう"」と含みのある言い方をしていたから。
そして、彼と同じ言葉を口にした。
「大丈夫」
これで確信へと変わった。
自分の努力が芽を出した事を彼に伝えようと思っていたら……今に至る。