第5章 第2ボタンをあなたへ/黒子テツヤ・青峰大輝
教室で行われた最後のホームルーム。
担任と生徒たちは抱き合い、クラスで集合写真を撮った。
そのあと、アルバムに寄せ書きを書いたり、各々写真を撮ったりと和やかな雰囲気がその場を包んでいた。
「さん」
「わぁっ!?」
突然、叩かれた肩に体が跳ね上がる。と同時に、これまで取ってきた この当たり前のリアクションも、これが最後だと思うとは寂しく感じていた。
影の薄い彼。バスケのコートでは、それが光を生む。その瞬間には、何度も心を奪われた。
そんな事を思い出していると、水色の綺麗な髪をした男子生徒は申し訳なさそうに眉をひそめた。
「驚かせてしまい、すみません。何度も呼んだのですが、気付いてくれなかったので……」
「そうだったんだ! ごめんなさい」
廊下へと彼は移動し、辺りをキョロキョロと見渡す。……誰か探しているのだろうか……。
ホッと胸を撫で下ろすと、再びの元へやって来た。しかし、その顔は険しい。
「ここにいては"危険"です。僕と一緒に来てください」
半ば強引に手を引かれ、彼の後をついていく。
線の細い彼だが、やはり男子だ。骨張った細い指と意外と大きな手。そこから伝わる温もりが頼もしい。
まるで、「守ってあげる」と言わんばかりに。